働き方が多様化し、自分の「好きなこと」を突き詰めて仕事にしよう、生業にしようという流れは今後もどんどん加速していくことでしょう。
いま勤めている会社や組織で働きつつ、複業として好きなことを発信し、仕事につなげようと考えている人も少なくないと思います。
しかし、僕は「好きなこと」をそのままストレートに仕事にしてしまうことはひとつ大きな問題があると考えています。それが、以下のツイートに書いた内容。
好きなことをそのまま仕事にしてしまうと、それが嫌いになったときに取り返しのつかないことになるので、【好きなこと×普遍的な補助スキル】でポジションを作っていくのがいいんじゃないだろうか。すると、好きなことが移り変わったり、なくなっても、普遍的な補助スキルで一定のポジションは築ける。
— シモツ@鹿児島 (@shimotsu_) August 5, 2018
今回は、この問題について考えてみようと思います。
- 好きなことを仕事にしようと考えている人
- これから生きていく上で、どんなスキルを身に着けていくべきか悩んでいる人
「好きなことが最良とは限らない」と教えてくれた、森博嗣さんの本
そもそも、仕事をしていくうえで「好きなこと」が最良ではないのでは?ということを教えてくれたのは、作家の森博嗣さんの本『「やりがいのある仕事」 という幻想』です。
僕は森博嗣さんがとても好きで、新書をこれまでに何冊も読んできたのですが、そのなかでもいちばん好きなのがこの本。
森博嗣さんの新書のなかで、唯一「働き方」をテーマに扱った本です。学生時代にはじめて読んで感銘を受け、以降も事あるごとに読み返している本です。
森博嗣さんの新書については「小説しか読んでないの!?絶対読むべき森博嗣のおすすめエッセイ10選」という記事にオススメ本をまとめているので、ぜひ読んでみてください。
この本のなかで、森博嗣さんは仕事の選び方についてこのように語っています。
ただし、「好きだから」という理由で仕事を選ぶと、それが嫌いになったときに困ったことになる。人の心は、ずっと同じではない。どんどん変わるものだ。嫌いになったり、厭きたときに仕事を辞めてしまうのでは、効率が悪い。「好き」で選ぶことは、そこが問題点といえる。さらに大きな問題は、食べ物のように好きか嫌いかということが、仕事の場合は事前によくわからない、という点にあるだろう。
人の「好きなこと」はどんどん移り変わるので、それに応じて職を転々としていたら効率が悪い、という指摘ですね。
その職を「食えるレベル」までに引き上げるために時間をかけないといけないことや、それまで付いてきていた顧客が入れ替わることによって再び営業活動をしないといけない、ということを考えると、たしかに効率は悪いといえます。
好きなことを直球でそのまま仕事にするのは、気分が乗っているときは何もかも噛み合って楽しいけど、そうでなくなったときにつらいことになっちゃうんですね。
さらに、こうした変化があった場合、「一貫性のないヤツだ」「軸がブレている」などと批判されることをおそれ、人は積極的に発信しないので、この問題点は外からは見えにくいものです。なので熱量が冷めたとき、ひっそりとフェードアウトしていきます。
賢い人は「好きなこと」×「普遍的な補助スキル」で仕事を作り、リスクヘッジする
そこでいま僕が可能性を感じているが、「好きなこと」×「普遍的な補助スキル」のセットでポジションをとり、仕事を作っていく方法です。
つまり、直球で「好きなこと」を仕事化するのではなく、それに、普遍的な補助スキルをかけ合わせて成立させるという考え方。
「バス釣り」を例に考えてみましょう。
「バス釣り」を直接仕事にするなら、目指すのは「バスプロ」という職業です。僕がこのブログでも、「【DSTYLE】僕がバスプロの青木大介がこんなにも好きな理由」などの記事でご紹介している青木大介さんのような在り方です。
一方、「好きなこと」×「普遍的な補助スキル」で考えると、このような仕事があるでしょう。ここでの掛け算の右側が、普遍的な補助スキルになります。
- バス釣り × ライティング/マーケティング = バス釣りブログ
- バス釣り × アプリ開発 = バス釣りアプリ
- バス釣り × 英語 = 海外からの顧客向けのバス釣りガイド
- バス釣り × 動画制作 = バス釣りYouTuber
などです。
右側のスキルは、左側の「好きなこと」が変わっても活かせるスキルなので、もし興味が移り変わっても保険の役割を果たしてくれます。言い換えると、横展開できるスキルともいえます。
たとえば、「バス釣り」が「盆栽」や「シーカヤック」に変わっても、なんとか公式は成立します。
「ブログ」は補助スキルとして優秀
さらにいうと、特にブログは補助スキルとして優秀です。なぜなら、情報発信のスキルはいかなるジャンル、分野においてもその価値を発揮するからです。
現在、このブログはまだまだ駆け出しで、月間3〜4万PVほどで、そこから発生する収益は2〜3万円ですが、そのうち8割程度は「バス釣り」関連のクエリで生まれる検索流入によるものです。
まだまだ伸ばしていく必要はありますが、これも見る人が見れば、「好きなことを仕事」にしている一例でしょう。
しかも、もし仮に僕の興味が、バス釣りからトライアスロンに移ったとしても、それまでの資産は引き継がれ、かつ培ったライティング/マーケティングでそれまでより効率よく、トライアスロンにおける情報発信を仕事にすることができます。
そういう意味で、ブログの運営は補助スキルとしては結構優秀だと思います。
もちろん、効果が出ない時期が長いので辛抱が必要なのですが、それを耐えれば可能性はグッと開けるかなと。
最後に
まとめとして、そもそも「好きなこと」が見つからない!という人は、それが見つかったときに活かせる補助スキルを淡々と伸ばしていくのがいいでしょう。
ブログでも、写真撮影でも、プログラミングでも、動画制作でもなんでもいいと思います。
そのなかで、「これ、好きかも」と思ったものに対して、これまで培ってきたものを一点集中して投下。僕は基本的にこの考え方でこのバス釣りブログを運営しています。
ということで、このリスクヘッジの考え方をもとに、「好きなこと」と「補助スキル」の両面で磨いていきましょう。
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