Eメール、Facebook Messanger、Slack、Chat Work、LINE、Skype…。今日日、Web制作者と発注者とをつなぐコミュニケーションツールはさまざまなものがあります。特にディレクターとクライアントは頻繁に連絡を取り合うことになるので、最適な連絡ツールの選定はプロジェクトを成功させるための重要な要素となります。
社内であれば統一されたルールのもとコミュニケーションが行われるためさほど悩むことはないと思いますが、特にクライアントとの連絡においては、「どのツールを使って連絡を取り合えばいいのかわからない…」という方も多いのではないでしょうか。
実はぼくもその一人で、前職のWebメディアのコンテンツディレクター時代からいままで、結構いろいろ悩んで試行錯誤してきましたが、結局どれが適切なのかしっくりこないまま仕事を進めてきました。
けれど、最近やっと「こうすればいいんじゃないか」くらいの指針が見えてきたので、Webディレクターとしてクライアントの担当者との連絡ツールの選び方についてまとめてみようと思います。
目次
前職時代は「基本はメール+通話」
前職では、主に企業のオウンドメディアの運用をおこなうコンテンツディレクターとしての役割を担っており、その当時は基本的にはクライアントとはメール+電話でコミュニケーションをとっていました。
普段はメールでやり取りをし、たまに補足事項や伝わりにくい点を説明する場合は電話で直接説明する、という方法ですね。いたってベーシックで、いわゆるビジネスにおけるやり取りはほぼこの方法なのではないでしょうか。
当時から、ChatworkやSlack、Facebook Messanger等のビジネスにも使えるチャットツールは盛んに活用されていましたが、「証拠として残る連絡ツールでないとNG」という会社の規定により、仕方なくメールで連絡を取り合っていました。
これは僕らだけがそうということではなく、やり取りをするクライアント企業も上場している大手企業も多かったのでそちらに合わせていた側面も大きいです。
メールと電話だとスピード感は損なわれる
メールは最も確実な連絡手段ですし、電話も意図が通じやすい方法なのですが、やはりどうしてもコミュニケーションのスピードは遅くなります。
毎回、「お世話になっております。◯◯の下津曲です。」からはじまり「よろしくお願いいたします。」で締めるのは、正直面倒…。かといって、枕詞や締めの言葉を一切入れないというのも、新入社員としてはちょっと気が引けます。実際、そういうふうに連絡をとっていると、「マナー的にどうなの?」と指摘を受けたこともありました。
そういうこともあり、些細なやり取りはできればチャットでやりたい、とそのときからずっと考えていました。
独立してからは、連絡手段は柔軟に選べるように。
その後、独立してからは連絡手段はかなり柔軟に対応できるようになりました。
別に「証拠を残すため」にメールにする必要もそこまでないし、しっかりやり取りできればそれでOK。まあ、ファイルやテキストの検索機能は必要ですが。
とあるクライアントとはLINEのみ、別のクライアントはメールとSlackの両刀、またFacebook Messangerのみでやり取りをするクライアントもいらっしゃいました。
社内では基本的にSlackを使っているので、同業種の方や領域が近いクライアントだとSlackのチャンネルに招待していただいたい、こちらが招待するケースもあります。
なので、
【クライアントの希望がない場合】
1.Slack(クライアントも使っている場合)
→ 社内でも使っているので、最もラク。
2.Facebook Messanger
→ 最もベーシックなチャットツールなので。フレンドにならないといけないという縛りもある。
3.メール
→ 一般的な連絡手段。
【クライアントの希望がある場合】
それに合わせる
みたいな感じで、連絡ツールは決定するようにしています。
「ワンフロー」のみのコミュニケーションだと、収集がつかなくなる場合も。
例えば、Messangerを使ったコミュニケーションをとると分かるのですが、Messanger上でのやり取りは完全にワンフローのものです。「ワンストリーム」といってもいいかもしれません。
要は、ひとつの大きな流れの中で議論は展開できるものの、それがどんどん枝分かれしていくことに弱いんですね。
もちろん、議論の流れが停滞したり、議論のなかでまた別の議論が巻き起こった場合にそれを順序立ててひとつひとつキレイに解決できればそれでも問題ありません。けれど、なかなかそうもいかない。
Aという議論が起こり、Aについてやり取りをする中で、途中B,Cという議論の種が生まれる。Bについて判断を下すためにはまず先にDを決定しないといけない…、みたいな状況って普通に起こりうることなのですが、こういう場合にMessangerやLINEといったワンフロー型のチャットツールは弱い。
ぼくらがWeb制作を行うときは基本的にウォーターフロー的にマイルストーンを設定し、ひとつひとつクリアしていく方法で作っていくのですが、ワンフロー型のチャットでのやり取りで問題なくスーッとキレイに議論が進行していく、なんてことはまずありえません。
必ずどこかで議論が枝葉に分かれ、それぞれをしっかり話し合ったうえで、また本流の議論に戻って進める、ということを何度も繰り返して少しずつ進行していきます。
「フロー型」「スレッド型(ストック)」「対面(通話)」をバランスよく織り交ぜる。
結論としては、「フロー」型と「スレッド型」と「通話(ビデオ通話含む)もしくは対面」を適度に織り交ぜていくのがベストだと考えます。
ここでいう、フロー型、スレッド型とは以下のようなツールを指します。
■フロー型
Facebook Messanger、LINE、ChatWork、Slack(スレッド機能はあるが貧弱なのでこちら)など
■スレッド型
メール、Facebookグループなど
基本はフロー型でのやり取りをメインとし、込み入った内容の議論や、確認事項がやや多い場合はスレッド型で別途連絡するというのがいまのところベストなのではと思っています。
かつ、これに収まらない内容や、テキストではどうしても伝わらない場合は、電話やビデオ通話、直接会って話すということを採用すべきでしょう。ここ最近は特にIT業界において「電話は悪だ」という風潮が強いように感じますが、どうしても文字で伝えにくいことはあります。
実際、メールだとややこしい話になっていたが、直接電話してみるとなんてこともない話だった、ということを経験したことがある人もいるのではないでしょうか。無駄な表層的なやり取りに時間を費やすくらいなら、電話をしたほうが手っ取り早いケースはいくらでもあります。
また、最近だといろんなチャットツールでビデオ通話の機能が導入されていることもあり、ビデオ通話をおこなうハードルもぐっと下がりました。クライアントが遠方にいる場合は、そうしたツールを使って積極的にビデオ通話が行えるというのもいまの時代ならではの手法だと思います。
具体的には…、
上記の例として具体的に取り入れているのは、
普段のやり取り:Facebook Messenger
込み入った内容や確認事項が多い内容:Facebookグループのスレッド投稿
その他のテキストでは伝わりにくい内容:Facebook Messengerのビデオ通話
みたいな感じですね。こうしてみると見事にFacebookばかりで、いかにMessengerがコミュニケーションツールとして優れているかがわかります。
場合によっては、MessengerがSlackに変わったり、Facebookグループがメールに変わったりしますが、基本的には方針は同じです。
最後に、またまとめると、
【「フロー」型と「スレッド型」と「通話(ビデオ通話含む)もしくは対面」を、場面に応じて使い分けるのがベスト
ということですね。身も蓋もない結論のように見えますが、強調したいのは、「フロー型」のチャットツールは決して万能ではないということ。早さだけを求めてこれだけにこだわっていたら、結果的に無駄な時間がかかっていた…、ということになりかねないので、連絡手段の選定は慎重におこなうことをオススメします。
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